一枚の風景画が示すもの

2024年2月11日　― 世界が種々の安全保障機関を設置している理由は、「戦略」と呼ばれる一つの競争行為の暴走を制限するために、そうした世界の競争構造を公平で平和的なものとすべく一つのルールで維持管理するためではないでしょうか。

そのルールは、ちょうどサッカー選手が反則を犯した時に、高々と上がったイエローカードに敬意を表し、しばらくの間彼にヒートダウンしていただくことで、そのサッカー試合を共通ルールの中でのみ競い合わせ、それが暴力沙汰に発展しないようにするための決め事と同じようなものでしょう。

また、もし街の一角に一枚の風景画が展示されており、その絵に、一人の人が懸命に消火している火事場の背後で、有ろう事か、その火が消えないように油を注ぎ足しながら見ている人が描かれていたとしたら、これを見た人はこの二人のうちのどちらの方をよりひどい人だと感じるでしょうか。

「彼には責めるべき点があるために制裁が加えられているのだ」と考えて、前者の方を非難する人がいるとすれば、背後から油を注いでいる人のポケットの中に自らの、「過去の責められるべきトーチの誤用歴が書かれた紙が入っている」ことを伝えるこの絵画の「説明書き」を見落としているのかもしれません。

今日騒がれているような新聞情報は重いものであれ軽いものであれ、その働きは自然界の水の循環作用に例えることができるのではないでしょうか。下流域への水の供給を断つために上流のダムの水門を閉ざすと、それはいつか必ず決壊して、今では制御の利かない水の激流となって下流域に押し寄せるでしょう。

国民を引率する過程で不利に働く情報の統制や検閲を実施したところで、人の思惑で水の法則を無効にすることはできないでしょうし、最終的に知られる運命にある生の情報という水によって洗礼された人々が現実世界の歩みに追随したときに、彼らは一体どちらの方向に歩み出るでしょうか。